グルテンフリー

“グルテン”はそんなに悪者? 今さらだけど“グルテンフリー”を正しく理解しよう

健康志向ブームに伴い、“グルテンフリー”や“オーガニック”といった体にやさしいと言われる食品を選ぶ人が増えてきている。とくに“グルテンフリー”はここ数年の間によく耳にするようになったが、なぜそれほどまでに注目されているのだろうか。

グルテンフリー

実は“グルテンフリー”の波はアメリカからやってきたものだ。アメリカでは、小麦のグルテンによってアレルギーを起こす『セリアック病』の患者がおよそ130人に1人いるそう。また、そこまで重篤な症状ではないが、体重増加や便秘・下痢、イライラする、集中力が続かないなど、グルテンによる体調不良を引き起こす人が多いとか。このような背景から、日本でも注目されるようになった“グルテンフリー”。だが、本当に“グルテン”は悪者なのだろうか? 今さら人には聞けない“グルテンフリー”の効果などを確認しておこう。

そもそも“グルテンフリー”とは?

グルテンフリー

“グルテンフリー”とは、グルテンを含む食品を口にしない食生活のことだ。もともとはグルテンにアレルギーのある『セリアック病』の患者のための食事療法。『セリアック病』とは、遺伝性の自己免疫疾患で“グルテン”に反応を示し、自己免疫系が小腸の組織を攻撃。その結果炎症が起き、小腸の細胞が破壊されるという病気だ。腹痛や下痢、倦怠感といった症状があらわれる。

世界的な男子テニスプレーヤーのノバク・ジョコビッチ選手もグルテンが体質に合わなかったらしく、著書の中で「グルテンフリーの食事に変えたら体調が良くなった」と語っている。このような著名人の発言なども“グルテンフリー”が一般に広く知られるきっかけとなったきっかけだ。そして、この食事療法に多くのメリットがあることが知れ渡り、近年では健康的な食生活法としてグルテンフリー生活を行う人が増えてきた。

“グルテン”は身近な食品にも含まれている

グルテンフリー

“グルテン”とは、小麦粉に含まれる2種のたんぱく質「グルテニン」と「グリアジン」が絡み合ってできたもの。小麦粉に水を加えてこねることで“グルテン”に変化するのだ。粘弾性があり網目構造を形成するため、この性質を利用してパンやパスタ、お菓子などの材料に用いられる。また、ルーや調味料、甘味料、さらには化粧品などにグルテンが含まれることもあるのだ。

“グルテン”が体にもたらす不調

グルテンフリーグルテンには食べ物をおいしくするという効果があるが、身体への良くない影響も指摘されている。

もっとも知られているのは食物アレルギー。小麦アレルギーや前述したような『セリアック病』などグルテン関連のアレルギーはかなり多く存在する。喘息やアトピーを引き起こすアレルギー反応もあれば、アレルギーと自覚しにくい倦怠感や肌荒れなどの症状もある。グルテンフリーを実践することで体の不調が改善したり、肌荒れが解消するような人は、実はグルテン不耐性というケースも。

これ以外にも、グルテンの多く含む食事をすることで体に弊害が起きてしまうこともある。以下のような症状が出る人は注意が必要だ。

下痢、便秘、倦怠感などの不調を起こしやすい
体が冷えやすい

体は小麦粉のような精製加工されたものを消化する能力が低いため、消化されなかったものは腸の内壁にこびりつく。そして栄養の吸収を邪魔したり代謝を下げる要因になるのだ。そのため“グルテン”が原因の消化不良や便秘、下痢などが起きるのだ。

さらに、グルテン摂取による不調に『リーキーガット』という症状がある。腸に穴があいてしまい、本来腸内にあるべき細菌や食物が体内に流れ出ることで、肝臓病やうつ病などを発症する危険性があるそうだ。

また、小麦粉に含まれるアミノペクチンは、血糖値を急上昇させて脂肪を溜め込みやすくしてしまう。さらに、小麦粉のグルテンにはグリアジンという食欲を促進させる作用の物質が入っており中毒性も伴うため、“グルテンは太る”と言われている。

以上のような影響から、“グルテン”は悪いものと思われがちになっている。だが裏を返せば、何も不調が出ない人にとっては、まったく悪者ではないのだ。

続けられる“グルテンフリー”のやり方

すべての人にとって“グルテン”が悪いものではないことはおわかりいただけただろうか。

もし、グルテンを摂取すると体調がイマイチという人は、試しに“グルテンフリー生活”をやってみるといいだろう。ただ、グルテンは小麦粉だけではなく醤油などの調味料にも入っている。すベてのグルテンを排除するのではなく、まず、パンやパスタといった主食のグルテンだけを排除する、ゆるめの“グルテンフリー生活”を気負わずにはじめてみてはどうだろう。

構成・文/MEN’S WELLNESS編集部

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