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【キャリアチェンジ】介護職の営業マンからスタイリストへ。「やりがい」を求め計画的にキャリアチェンジ

新年度が始まり、今年も多くの企業に新社会人が入社したことだろう。年功序列や終身雇用制度が崩壊しつつある今、この先、企業において高いポジションを目指すには、スキルの深掘りが必要とされる。

しかし、“自分の強み”を明確に持てず、「他の業界で働きたい」「別の仕事をしてみたい」など、キャリアチェンジを模索する人も増えているようだ。改めて人生を見つめ直すきっかけとして、同業他社への転職ではなく、異なる業界に飛び込むキャリアチェンジも選択肢のひとつだ。

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そこで今回は、福祉用具の営業マンから転職し、現在ドラマやアーティストなどのスタイリストとして活躍する蓮実大地さんに、キャリアチェンジのために得たスキルや方法について聞いてみた。

運命を決めたのは、学生時代に合宿免許のために滞在した山形で出会った男性


そもそも蓮実さんがスタイリストになりたいと思ったきっかけは何だったのだろうか?
「大学在学中に山形へ運転免許取得の合宿に行ったんです。その合宿先でオシャレなアパレルショップを見つけて興味本位で入店したんですよ。そこの店主が、都内でスタイリストをしている男性で、とってもカッコ良かったんですよね」

今から10年以上も前、まわりに遊ぶところも少なかった山形の街で、そのお店は“すごく映えたショップ”だったという。とても仲良くさせていただき、オシャレな兄貴的存在だったそう。また、蓮実さんは元々ファッションに興味があったため、店主と話すたびにスタイリスト業への憧れを抱き始めていった。

そして、合宿を終えてから勇気を出し「アシスタントは雇っていませんか?」と連絡をしてみた。しかし「経験者しか雇っていなくて…」と断られたのだ。断られたことで挫けるのではなく「だったら経験を積んでやろう!」という意欲が溢れてきたという。そして蓮実さんはとある行動に出た。

「ファッション誌の裏に書かれている編集部に電話をかけまくりました。“スタイリストの方で、アシスタントを雇いたい”と言っている人を紹介してほしいと伝えました」

絶対に経験を積んでやるという気持ちが強く、ジャンル問わず何十社も電話をかけたという。

その結果、ご縁があり、大学在学中にスタイリストのアシスタントを始めることができた。しかし、今から15年以上も前のアシスタントの給料は、とても生活ができる金額ではなかった。そのため掛け持ちでアルバイトへも行っていたという。

「学業にアシスタントにバイトと大変でしたが、断られたことを見返したいという気持ちと、洋服が好きだったこともあり、続けることができました」

期限は3年間。スキルアップを目指し、営業マンとしてスタート


スタイリストアシスタントという仕事を経験していく過程で、洋服の着こなしの提案はもちろんだが、会話術や自身を信頼してもらうため、的確な方向性を示していけるか、自分を売り込む営業力が重要になることを知ったという。そこで蓮実さんは、営業力を身につけるために大学を卒業後にサラリーマンになった。

サラリーマンから畑違いのスタイリストへキャリアチェンジを図ったのではなく、最終ゴールをスタイリストと決めて、まず遠回りとも思える業界に入ったのだ。

「学生時代に社会福祉士の資格を取得したので、福祉用具を取り扱う企業に勤めました。ただ、自分自身が仕事を楽しめないと長続きしないと思っていたため、発想が面白い学生起業家によって創立された福祉のベンチャー企業に就職しました」

期限を3年と決め、後にスタイリストになろうと決意。営業マンをやるからには、成績を残そうという目標もあった。

「たとえ商品が良くても、本当にその商品を自分が使いたいと思わない営業方法では、購入してもらえないと思うんです。また“蓮実さんから購入したい”と思っていただけるのはどうしたら良いのかも考えて、頑張りました。この考え方は現在のスタイリスト業にもいえることで“あなたにスタイリングをしてもらいたい”と思ってもらえるような、営業方法・売り込み・提案はどうしたら良いのかに繋がると思っています」

今はネットで口コミを頼りに欲しい物を購入できるが、10年以上前では、ネットは主流ではなかったため、営業力が求められた。いかに自分から購入してもらえるように、付加価値をつけるならどうしたら良いのかを考えたという。そして期限の3年で成果を出し、きっぱり営業マンを卒業した。

自分を売り込み、新たにスタイリストへの道を開く


会社を辞めると決めてからは、知人の伝手でアパレルや広告関係の方との食事会に積極的に参加し、自分を売り込むことに注力したという。営業マンを経験してきたので、自分を売り込む力には自信があった。その結果、まず女性のスタイリストさんのアシスタントとして再スタートすることになった。

しかし、サラリーマン時代は定期的な収入があり経済面で安定していたが、再びスタイリストのアシスタントに戻ってみると、仕事の量も月毎に異なるので収入も安定せず、やはり金銭面の部分で苦労したという。

「親に迷惑をかけないよう、乗っていた車を売ったこともありました。収支をしっかりと把握し、お金を稼ぐにはどうしたら良いのかも考えるようになりました」

仕事を増やす以外にも投資の勉強もこの頃からはじめたという。また、お金がない時代を経験したことによって、お金のありがたみを実感。雇う側となった今、その気持ちをアシスタントに伝えているのだそう。

長続きの秘訣は、仕事に「やりがい」「楽しみ」を見つけること


およそ3年のアシスタントを経て、ようやくスタイリストデビューを果たした蓮実さん。再び自分を売り込み、初めて受けた仕事が「中国のECサイト」のスタイリングだ。朝方の原宿で撮影するスタイルが中国で人気があり、今も継続して行っているとのこと。そんな蓮実さんの「やりがい」とは?

「自分の提案したスタイリングが採用されたときはもちろんですが、アーティストやタレントでも、全てのアパレルから借りられる訳ではないので、クライアント様にとって納得のいく最適でポジティブな提案ができたときですね」と語る。

相手の気持ちに寄り添ったスタイリングの提案を心がけ、希望スタイルをしっかりヒアリング。これは営業時代の経験が活かされているといえるだろう。また、希望のアイテムが借りれないといったトラブルに対しても解決に導く提案をする。

転職・キャリアチェンジ・起業、自分を信じて満足のいく仕事探しを

「どんな仕事でも”どうしたら自分が楽しく仕事ができるのか”を考えることが大切で、楽しくできた先が“やりがい”に繋がるのではないかと思います。リスクを考えて行動を起こさないよりも、はじめることが大切だと思います」

これからは社会福祉士という資格とスタイリストという仕事を活かし「いくつになってもオシャレの心を」をモットーに、デザインにも拘った福祉用具の企画・提案も行っていきたいそう。今の仕事が楽しくないから、と漠然と転職を考えるのではなく、キャリアチェンジした先の職種は、これまでに得た経験やスキルを生活かすことができる環境か? また、どのように活かせるのか? 考えることも大切だと語る。

蓮実大地さん/スタイリスト
日本テレビ系TVドラマ乃木坂46主演「ザンビ」、日向坂46主演「DASADA」や、舞台「志村魂」パンフレット等。また、Marlboro iQOSとデザイナーNIGOコラボモデルCMのスタイリングを手掛けるなど、数多くの現場を歴任。YouTuberエスポワールトライブがプロデュースしたヘアケアブランド「EXGEE」の広告スタイリングも担当。スタイリストとして、ファッションショーやTV、CM、MV、舞台の現場と多方面で活躍中。
https://lotusmikan.wixsite.com/stylist
https://www.instagram.com/daichi8hasumi/
https://twitter.com/lotussneaker

構成・文/南 沙織

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