2022年のお年玉事情。ついにお年玉も“キャッシュレス”の時代に突入か⁉︎

今年も残すところあと1ヶ月あまり。新型コロナウイルスの勢いも落ち着きを見せ始め、帰省自粛が叫ばれた昨年とは少し異なる年末年始を迎えられそうな気配だが、まだまだ景気は上向きにならず……。そんな中、2022年のお年玉事情はどうなるのだろうか?

総合マネースクールのファイナンシャルアカデミーが、全国の子を持つ男女300名を対象に調査した『キャッシュレスとお年玉に関する意識調査』から、変わりつつあるお年玉事情をご紹介しよう。

Q. お年玉のキャッシュレス化についてどう思いますか?

過半数が賛成! 3年前と比較すると20%増

全国の子を持つ男女300人に、「お年玉のキャッシュレス化についてどのように思いますか?」と尋ねたところ、「とても良いと思う」が16%、「まあ良いと思う」が38%と、過半数がキャッシュレスのお年玉に対し肯定的な考えを示した。2021年行った調査と比較しても賛成派は増え、調査を始めた2019年と比較すると20%増となった結果だそう。新型コロナウイルスによる生活様式の変化が「キャッシュレスのお年玉」に対する意見に影響していることが予想される。

賛成派の声は「便利だから」。反対派は「ありがたみがわからない」

それぞれの回答理由は、キャッシュレスのお年玉賛成派からは、「支払いがスムーズ」「現金を持たなくても良い」といった「便利さ」をあげる声が圧倒的多数だった。また、2020年の調査で多くあがった「コロナ対策(帰省できない、衛生的であるなど)」という理由は、前年度の21人から今回は10人にまで減少したが、1位の「便利さ」を理由にあげる声が急増した点を踏まえると、親世代のお金との付き合い方は、コロナをきっかけに変化した、と言えるのではないか。

一方、反対派からは「お金のありがたみ、価値がわからない」という理由が最も多く聞かれた。

Q. 2022年はお年玉をどのようにあげますか?

過半数がキャッシュレスに賛成という回答だったが、「2022年のお正月、子どもにお年玉をどのようにあげますか?(親戚の子どもなど含む)」という質問に対しての回答は意外な結果に。「キャッシュレスであげる」という回答は、実際には全体の1割に留まった。過去の調査結果と比較しても、キャッシュレスであげるという人は、2019年4%、2020年7%、2021年9%と増加傾向ではあるものの、いまだ大きな変化が見られないのが現状だ。

キャッシュレスであげる理由は、コロナをきっかけに実感した「便利さ」

「お年玉をキャッシュレスであげる」と回答した人にその理由を尋ねたところ、昨年1位と2位を占めた「コロナ対策として衛生面で安心」「帰省自粛で現金のお年玉を渡せない」と回答する人は減少し、「お年玉をあげる側が便利」「お年玉をもらう側が便利」といった便利さを理由にあげる人が上位に入れ代わる結果に。

具体的な手段としては「◯◯Payなどのスマホ決済」が、昨年の19人から2倍近く増え、36人となった。これは、QRコード決済を普段から使用していることに加え、送金機能の充実などが関係している可能性もあるだろう。

Q. 金融経済教育のあり方が変わる(さらに重要になる)と思いますか?

「キャッシュレス社会になると、金融経済教育のあり方が変わる(さらに重要になる)と思うか?」の問いには、約8割の人が「そう思う」と回答。キャッシュレス化に伴い子どもの金融経済教育は今まで以上に必要だと感じている人が多くいることがわかった。

2022年4月の「成人年齢引き下げ」で新たな問題。キャッシュレス派が増えても、未成年のクレジットカードには半数が反対

子どもとキャッシュレスの問題に関連して、2022年4月に施行予定の「成人年齢の18歳引き下げ」に伴う「未成年者のクレジットカード所有」についても意見を聞いたところ、約半数の親から、未成年がクレジットカードを持つことに対して否定的な意見が聞かれた。これまでの質問の回答からわかる通り、親世代にはキャッシュレス決済が浸透しつつあるものの、いざ子どものカード使用となると「使いすぎやトラブルが心配」「まだ早い」といった心配の声が多くあがった。賛成派からは「良い勉強になる」など、実践の中で付き合い方を学ぶべきだ、といった声が多く聞かれた。

専門家の考察は「お年玉は、親子でお金を学ぶチャンス!」

最後に、この結果を踏まえた専門家の考察もご紹介しよう。考察してくださったのはファイナンシャルアカデミー認定講師・FP・相続診断士の小野原 薫さん。


大手証券会社でキャリアを積む中で、顧客目線の中立的な金融経済教育の必要性を強く感じ、ファイナンシャルアカデミーに参画。現在は、お金の教養スクールや投資信託スクールなどで教鞭を執るほか、高校への出張授業など若年層への金融経済教育普及にも尽力。わかりやすい解説が好評でテレビの情報番組や新聞のコラム執筆など、各種メディアでも活躍中。

「成人年齢引き下げ」も2022年4月に迫る中、キャッシュレスのリテラシーは不可欠に

「前回のお正月はコロナ禍で帰省を控える動きもあり「物理的に渡せない」という理由から、キャッシュレスのお年玉に注目が集まりました。あれから1年。今回の調査では物理的な問題というよりは、2年弱のコロナ禍で生活が変化する中、キャッシュレス自体が浸透し、キャッシュレスのお年玉にも関心を持つ人が増えたように思います。

今回の調査ではキャッシュレスつながりで、2022年4月に迫る「成人年齢引き下げ」に伴う「未成年のクレジットカード所有」に関する問題についても意見を聞きました。これについては、否定的な声が半数弱にまでのぼり、親御さん自身はキャッシュレス化していても、お子さんのクレジットカード決済については不安を感じているという本音が垣間見られました。ですが、キャッシュレスとうまく付き合っていける能力は、これからの時代を生きる子どもたちにとって必要不可欠です。では、どのようにその能力を身につければ良いのでしょうか。

私はまず、キャッシュレスという「手段」以前に、「お金そのものをうまく扱える力」を身につけてほしいと考えています。そのためにはお子さんが、自分の頭で考えてお金を使う経験を積むことが何よりも大切です。そこでうってつけなのがお年玉です。取り組みやすいのは、減った増えたが体感しやすい「現金」です。まずノートに自分が欲しいものを書き出し、それを得るためにはいくら必要なのか、一時的な感情ではなく本当に欲しいものなのかを考えさせた上でお金を使うことで、「計画性」と「価値あるものに投資する」という感覚が徐々に養われるでしょう。1ヶ月ごとに、自分のお金の使い方を振り返るようにすると、客観的に自分のお金の使い方が見えるのでオススメです。

キャッシュレス決済については、お金そのものとの付き合い方がわかればトライしてみるのもいいでしょう。タイミングとしては家庭での取り組み次第ですが、概念的な理解が進む小学校高学年以降は一つの目安です。いきなりキャッシュレス決済から始めると、年齢によってはお金の増減を「ただの数字の変化」だと捉えてしまう危険性もありますが、現金を扱える力がしっかりと身につけば、たとえ形が変わったとしても大きな心配は要りません。時代に応じたお金を正しく扱える力は、これからの子どもたちには不可欠です」

日本ファイナンシャルアカデミー株式会社

取材・文/編集部

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